研究概要 |
これまで, 網膜研究で層単位, 或いは細胞単位でタンパク質の局在と同時に発現を定量化することは困難であったため, 網膜内で生じる様々な生体反応を細胞単位でより詳細且つ正確に捉える事はできなかった。この問題を解決するために, 本研究ではレーザーマイクロダイセクションという手技を用いて特定タンパク質の網膜内発現部位(局在)を特定すると同時に, 発現が特定された細胞或いは層を切り出してWestern blotやRT-PCR等の定量化を試みた。 Sprague-Dawley1系ラット(♂, 8週齢)の眼球より厚さ約20〜30μmの凍結切片を作成した。抗酸化酵素であるManganase Superoxide Disumutase, Copper-Zinc Superoxide Dismutase, Glutathione Peroxidaseに対する抗体を用い、酵素抗体法により染色を行った。網膜層を色素上皮層, 視細胞外節〜外網状層, 内顆粒層〜内網状層, ガングリオン細胞層〜神経線維層に分け, 各々陽性反応が見られた部位をレーザーマイクロダイセクション法により切り出した。切り出し, 回収した組織を用いてWestern Blotを行い, タンパク質の発現量の定量化を試みた。しかし, 一定量のタンパク質を回収する事は困難であり, Western Blot法では目的である抗酸化酵素のバンドを観察することができなかった。今後はより効率的な層の切り出し法を確立する共に, RT-PCR法での定量を試みる予定である。
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