研究概要 |
目的 : 結膜線維芽細胞におけるMCP-1受容体(CCR2)の存在を同定し, そのシグナルが細胞内に伝達されることを検討しMCP-1が直接受容体を介して結膜線維芽細胞に作用することを明らかにする。 1) 結膜線維芽細胞におけるCCR2 mRNAの検出 ヒト結膜線維芽細胞を100mmの培養皿に培養し、細胞からtotal RNAを抽出する。1ug/ml濃度RNAをcDNAに変換後, RT-PCR法を施行し, 電気泳動を用いて検討した結果, CCR2 mRNAの発現が認められた。 2) 結膜線維芽細胞における細胞表面のMCP-1受容体蛋白の検出 ヒト結膜線維芽細胞をMCP-1受容体に対する特異抗体と反応させた後, 蛍光標識した2次抗体と反応させる。Flowcytemeterを用い細胞表面上の受容体発現を検討した結果, CCR2受容体蛋白の発現が検出された。 3) 結膜線維芽細胞における信号伝達系の検出 結膜線維芽細胞においてMCP-1が細胞内シグナル伝達を行っているか知る目的で, 種々の信号伝達系蛋白のリン酸化を検討する。100mmの培養皿にヒト結膜線維芽細胞を播種し, MCP-1を添加して培養後, 蛋白を抽出する。その後, SDSポリアクリルアミド電気泳動により蛋白を分離した後, リン酸化抗体を用いてimmunoblotting法により確認する。その結果, Erk, JNK, p38 MAPKのリン酸化を認めた。 これらのことから, MCP-1が結膜線維芽細胞に直接結合することで, 細胞内シグナル伝達を介し, 種々の反応を生じさせうる可能性が示唆され, 他臓器と同様に, アレルギー疾患における病態形成にMCP-1が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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