1. 組換えhPEDFタンパクを用いたin vitro系を用いた保護効果とメカニズムの検証 網膜構成細胞由来の培養細胞(R28細胞)を用いて、血清除去刺激による細胞死(アポトーシス)に対するhPEDFの抑制効果を検討し、細胞内シグナルや転写因子についての候補を絞り込む。 A)hPEDFによるcell viabilityの変化 血清除去刺激に対し、rhPEDFタンパクを0-2500ng/mlの各濃度加え、濃度依存的に細胞死を抑制できることが明らかとなった。また、この効果はhPEDFの中和抗体により消失した。 B)hPEDFによるアポトーシスの変化 血清除去刺激に対し、TUNEL染色を用いてアポトーシスに陥った細胞を同定し、定量した。血清除去刺激に対するアポトーシスがcaspase非依存性経路を介するものであることが明らかとなった。 C)アポトーシス抑制のメカニズム解析 血清除去刺激により、アポトーシス誘導因子(AIF)がミトコンドリアから核内へ移行することが明らかとなった。また、hPEDFはBcl-2の発現亢進を介し、ミトコンドリア膜の安定化させることで、AIFのミトコンドリアからの放出を抑制しており、この作用によりアポトーシスが抑制されていることが明らかとなった。 2. SIV-hPEDF遺伝子導入によるin vivo系を用いた保護効果の検証 既に保護効果が確認できているRCSラットを用い、SIV-hPEDFを3週令ラットの網膜下に注入し、2週間後に眼球を摘出して検討をおこなった。In vitroの結果と同様に、RCSラットにおいても、アポトーシスを生じた視細胞においてAIFの核内移行が生じていることが明らかとなった。また、SIV-hPEDFの遺伝子導入により、視細胞におけるAIFの核内移行が抑制され、最終的にアポトーシスが抑制されていることが明らかとなった。
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