触覚センサーは、圧電セラミックス(PZT ; lead zirconate tltanate)に電圧を加えて固有周波数で振動させ、先端が物質に接触する際の音響インピーダンスの差によるPZT共振周波数変化をコンピュータで演算処理し、硬性としてのデータを表示する機器である。物質に接触した瞬間からその硬性をリアルタイムで計測でき、かつ客観的なデータとして表すことができるという点で非常に優れている。ただし、現行機のスペックでは人の眼圧と角膜硬性を瞬時に同時測定することが難しいため、研究協力者であるアクシムにハードおよび解析ソフトの開発を依頼している。将来的には触覚センサーを用いて、従来型眼圧形のゴールデンスタンダードであるゴールドマン圧平眼圧計に代わる眼圧計を開発すること、さらには眼圧自己測定が可能な家庭用眼圧計を開発することが目的であるため、健常者例を対に型眼圧計での測定を行った。家庭用眼圧計で軽量・小型、かつ測定値が十分信頼できる眼圧計は存在しないため、我々は検眼の眼鏡フレームを用いた新しい自己測定法を発案し、アイケア手持眼圧計(アイケアフィンランド社)により測定を行った。結果は医師による測定値と自己測定値の間に高い相関関係が認められ、アイケア手持眼圧計を用いた新しい測定法を臨床に応用できる可能性が示唆された。次年度はこれらの測定値と触覚センサーで得られた測定値を比較検討し、さらなるハード、ソフトの改良を必要に応じて行う予定である。また、家兎を用いた前房内圧を変化させる実験を行い、微妙な圧変化をスムーズに行う手技の獲得に成功した。
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