本研究においては実験的脈絡膜新生血管モデルを用いて、レーザーにより綱脈絡膜組織の破綻を惹起し、RPEの創傷治癒による線維血管組織が形成される. この過程において網膜色素上皮細胞がEMTを生じるかについて間葉系マーカー(α-smooth muscle actin)の発現を脈絡膜新生血管局所の免疫染色で確認し、同時に脈絡膜新生血管局所におけるヒアルロン酸及びCD44の発現を確認した。ヒアルロン酸は特に工PMにおける発現が高く、4-MU投与で減少した。さらにヒアルロン酸とCD44の関与の有無をin vivoで確認するため、ヒアルロン酸合成阻害薬である4-Methylumbellferone(4-MU)を投与し、対照群との間で脈絡膜新生血管量を比較したところ4-MU投与群で血管量の減少傾向を認めた。また脈絡膜新生血管量の抑制は4-MU投与量依存的な結果をしめした。マクロファージに特異的に発現する分子F4/80のReal-time PCRを脈絡膜新生血管組織に対して行ったところ、4-MU投与群でF4/80の発現が低下していた。すなわち、新生血管体積抑制のメカニズムとしてCNV局所へのマクロファージ浸潤の抑制が考えられた、更にCD44中稲抗体を用いて脈絡膜血管新生モデルに介入すると、4-MU投与と同様な新生血管の抑制効果が認められ脈絡膜新生血管に対するヒアルロン酸とCD44の関与が更に強く支持された。
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