目的:脈絡膜新生血管(CNV)形成におけるヒアルロン酸(HA)とその受容体CD44の関与を明らかにする。 方法:C57BL/6マウスに対してレーザー光凝固によりCNVを誘導した。脈絡膜組織中のHA合成酵素(HAS)2及びCD44の遺伝子発現をDNA microarrayまたはreal-time RT-PCRで評価した。さらにHA蓄積およびCD44発現を免疫染色で評価した。CNVマウスはHA合成阻害薬4-methylumbelliferone(MU)または抗CD44中和抗体を投与され、CNV体積の変化を測定した。CNVへのマクロファージ浸潤を調べるために、F4/80の発現をreal-time RT-PCRで評価した。さらに、CD44KOマウスのCNV体積を評価し、HA蓄積及びマクロファージ浸潤を評価した。 結果:レーザー誘導によってHAS2およびCD44の遺伝子発現は有意に上昇し、HAおよびCD44は免疫染色によりCNV組織中で陽性であった。MU投与濃度依存性にCNV量が有意に低下しており、それに伴ってマクロファージ浸潤の低下が認められた。また、抗CD44中和抗体投与によってもMUと同様にCNV量の低下が認められた。一方、CD44KOマウスにおいてCNV量は逆に増加し、HA蓄積及びマクロファージ浸潤の増強が認められた。 結論:CD44はCNV形成に重要な役割を果たしていることが示された。中和抗体投与とKOマウスの解離はCD44が車に接着分子として機能するだけでなくHAの回収、代謝に関与しているためと考えられた。
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