研究概要 |
本研究課題の目的は、糖尿病網膜症モデルであるストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスにおいて白血球上の接着分子LFA-1、Mac-1の機能が亢進するか否かを検討することであり、その方法としてAutoperfused Micro Flow Chamber Systemを用いることによって血管側接着分子の条件を一定化して、ICAM-1のcounter-ligandsの機能評価することを予定している。 しかしながら,生体顕微鏡システム(Leica社)およびCCDカメラの性能が白血球のローリング観察にやや適していない事が判明したため,急遽システムの構築に関して再検討が必要となった。問題点は,顕微鏡の焦点深度とCCDカメラのフレームレートにあり、この部分を改良する事によってローリング動画取得が可能となった。 現時点では,白血球のローリングが観察できる状態までのシステムは構築され、実際にビデオ撮影が可能となった。P-selectinコーティングチャンバー上での白血球ローリングは実際に観察され、動画解析が可能な事も確認された。本邦では本実験法を用いた発表はこれまでなく、今回動画撮影ができたことはEx-vivo Micro Flow Chamber Systemを本邦でも使用できるようになった事を意味し,大変意義がある。 今後は、本生体顕微鏡システムを使用して、本研究課題の目的であるICAM-1コーティングチャンバー上での白血球ローリングおよび接着の評価を行い、糖尿病網膜症モデル動物においてICAM-1に対する白血球上接着分子LFA-1、Mac-1の接着機能が亢進するか否かを検討する予定である。本研究の結果は糖尿病網膜症の発症メカニズムに対する理解を深めることにつながり、本疾患に対する新しい分子メカニズムとそれに基づく臨床応用への展望をもたらす可能性があり、重要性が高いと考えられる。
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