研究概要 |
平成21年度は、平成20年度に同定したベーチェット病における網膜自己抗原候補Heat Shock Protein (HSP) 60, aldolaseA, oxygen regulated protein (ORP), retinaldehyde binding Protein 1 (RABP-1), esterase Dのうち、ぶどう膜炎において抗原性についての既報がなく、まだ解析を行っていないORPとRABP-1について抗原性の確認を進めた。大腸菌を用いた発現系で上記2種の組み換え蛋白を作成し、ベーチェット病患者36例、健常人39例の血清を用いてウエスタンブロット法およびELISA法で抗原性の検出を行ったが、両群間に反応の差を認めなかった。一方、蛋白作成の過程でヒト網膜色素上皮細胞細胞株からORPおよびRABP-1のmRNAを検出できた。RABP-1は網膜特異的蛋白ではあるが、ベーチェット病における自己抗原にはならないと考えられた。 ヒト網膜組織を抗原としてベーチェット病の自己抗原の網羅的検出を試みた研究においては、既報のHSP60、および我々の研究ですでに自己抗原性の報告をしたEsteraseDがベーチェット病における自己抗原であることが確認できたが、新規の自己抗原性は同定されなかった。
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