研究概要 |
研究代表者は昨年度までに角膜内皮前駆細胞と考えられる中脳領域の神経堤細胞にごく早期に発現している転写因子の活性をGFPの活性に置き換えそのたノックインマウス胚性幹細胞(ES細胞)及びノックインマウスES細胞からキメラマウスを作成することに成功した.本年度は個体内のほぼ全ての中脳神経堤由来組織にGFPを発現するノックインマウスを活用し、マウス個体発生の段階毎の角膜内皮前駆細胞から作成したcDNAを用いて、角膜内皮細胞およびその前駆細胞に発現している分子マーカーを試みた.そこで得た角膜内皮細胞分化の分子マーカーを指標に研究代表者が開発した無血清かつフィーダー細胞に依存しない分化誘導系(Proc Natl Acad USA. 2006 ; 103 : 9554-9)を用いてin vitroでマウスES細胞から中脳神経堤細胞~角膜内皮細胞への分化誘導研究を行った.さらにはノックインマウス由来cDNAから得た分子マーカーのヒトへの相同性を検証した上で、ヒトES細胞を用いた角膜内皮細胞分化誘導研究への応用も行った.以上をまとめると,本研究課題において研究代表者は角膜内皮特異的分化マーカーの同定を試み、ヒトES細胞から角膜内皮細胞のin vitroでの創出への応用研究を行った.角膜内皮細胞の発生過程の解明及び角膜内皮細胞移植治療のためのヒトES細胞を用いた細胞移植ソース作成に寄与する研究であったと考える.
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