研究概要 |
【内容】Connexin 43 (Cx 43)は、Gap junctionを構成する膜貫通蛋白の-構成蛋白である。Cx43は細胞内のホメオスタシスの維持のみならず、心や骨などの臓器の発達・成熟過程における形態形成や、細胞増殖・分化に関与しているとの報告がある。実際、Cx43ノックアウトマウスは、出生後数時間以内にチアノーゼを呈し、死亡する。我々は、Cx43ノックアウトマウスの新生仔肺の肺成熟に関して、wild type群とknockout群との比較検討を行った。 【方法】成獣Cx43へテロマウスを交配し出生した新生仔マウスの尾を用いてタイピングし、ホモ、ノックアウトの2群に分けた。仔マウス肺を摘出し、右肺からmRNAを採取し、左肺は、4%パラホルムアルデヒドで固定した。Surfactant protein-C (Sp-C)、aquaporin-5 (AQP-5), alpha-smooth muscle actin (α-SMA)のmRNA発現をRT-PCRにて検討するとともに、同マーカーについて免疫染色を行った。同時にヘマトキシリンエオジン(HE)染色も行った。 【結果】HE染色の結果、knockout群の新生仔肺では、wild type群と比較して、肺胞中隔の肥厚および末梢側肺胞腔の狭小化を認め、分泌腺様構造を呈していた。また、RT-PCRの結果、knockout群のSp-C, AQP-5, α-SMAのmRNA発現はwild type群と比較して有意に低下していた。免疫染色に関しても、knockout群はwild type群と比べSp-C, AQP-5, α-SMA陽性細胞が少ない傾向にあった。 【意義および重要性】今回の実験結果から、Cx43 knockoutマウスの新生仔肺は、2型肺胞上皮細胞や1型肺胞上皮細胞、気管・血管における平滑筋細胞の細胞分化が、他の2群と比較して遅延しているものと考えられた。では、このような低形成が生じる原因を検索することで低形成肺の発生機序に関する新たな知見が得られる可能性があるものと考えられた。
|