研究概要 |
(目的)小児固形腫瘍でもっとも頻度の高い腫瘍である神経芽腫は、生物学的悪性度が腫瘍により大きく異なり、転移再発を繰り返し腫瘍死するものから自然退縮するものまである。原因としてMYCN遺伝子の増幅以外にも1p lossや11q loss, 17p gainなどさまざまな染色体・遺伝子の異常が報告され予後との相関が指摘されている。そこで、今回我々は、SNP-arrayを用いて、神経芽腫の全腫瘍遺伝子の増幅、欠失を一度に網羅的に検索することでより正確な悪性度の層別化を行うことを第一の研究目標とした。また、神経芽腫において生物学的多様性の存在が指摘されている。そこで、今回、SNP-arrayで明らかになった数種類の増幅または欠失した遺伝子について、マイクロダイゼクション法を用いて組織学的に偏って存在している症例があることを示し、神経芽腫組織内に生物学的多様性があることを証明し、更なる悪性度の層別化を行うことを第二の研究目標とする。 (対象と方法)当科で治療を行った神経芽腫・神経節芽腫を対象とし、SNP arrayの解析をブロックから抽出したDNAを対象とし、パラフィンブロック検体に対してマイクロダイゼクションによるDNA採取をおこない、対象遺伝子の解析を行う。 (結果)現在ブロック組織から抽出したDNAに対してIllumina Human CMV 370 Duoを用いて50例について解析を行った。1p loss、3p loss、11q loss、17q gainが高頻度に起こっていることを確認した。また、マイクロダイゼクションについては、約70検体から250箇所程度の細胞集塊からDNA抽出を行い、そのDNAを検体として、MYCN遺伝子の増幅の程度を比較した。今後はこれら2つの実験結果について検討を加え、更なる遺伝子について解析を進める
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