当初、出生直後の新生児ラット(生後1日 : P1)の涙腺神経を剖出し、両側あるいは片側の涙腺神経の神経切除(約1.5mm)を行う計画であったが、新生児ラットの涙腺神経は無髄神経であり、剖出が手技的に不可能であった。 当初の目的として、涙腺神経の神経支配を明らかにする目的があったが、ラットの涙腺神経の神経支配がいまだに明確にされていないことに着目し、この涙腺神経における逆行性トレーサーによる神経支配領域に関する研究を行うこととした。 200gのwistar系ラットを使用した。麻酔薬の腹腔内投与により麻酔を行い、眼瞼挙筋の外側に存在する涙腺神経を切断した。切断端に鋭敏な逆行性トレーサーであるフルオロゴールド(FG)2%希釈したものに神経断端を浸漬し、48時間後にパラフォルムアルデヒドで灌流を行う。凍結切片でFGの標識について確認すると、三叉神経中脳路核に標識された細胞を確認した。現在この結果を検証中であるが、三叉神経第三枝からFGが侵入した可能性を否定しきれておらず、今後は対照実験を行う予定である。
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