創部の血行が乏しいことが治療抵抗性の原因となっている難治性皮膚潰瘍において、創部の血行を直接的に改善するため、血管新生効果があるとされる骨髄間葉系細胞をシート状にし、創傷被覆材とする新しい難治性皮膚潰瘍治療方法の開発を目指した。また、臨床上の治療対象者は、高齢者がほとんどであり、高齢ラットと若年ラット由来の細胞培養シートでの治療効果の差を評価し、高齢ラットで本治療法が可能かを明らかにすることを目的とした。ルイスラットの骨髄から採取した骨髄間葉系細胞をフィブロネクチンコーティング培養皿で培養し、線維芽細胞様細胞を分離した後、温度応答性培養皿で培養し、冷却することで骨髄間葉系細胞培養細胞シートを作成に成功した。この方法を用いて、高齢ラットの骨髄由来の骨髄間葉系細胞培養シートの作成を行う予定である。難治性皮膚潰瘍モデルとして、ラット背部に全層皮膚欠損を作成し、放射線照射を行うことで難治性皮膚潰瘍モデル作成を行う予定であった。しかし、放射線照射量の設定と創部局所への照射が困難であった。そのため、ラット背部に全層皮膚欠損を作成し、皮膚欠損辺縁をシリコンリングで固定し、瘢痕拘縮による創収縮を防ぎ、創治癒の遅延をきたす皮膚潰瘍モデルを作成する予定である。高齢ラット由来の細胞培養シートでの治療効果を判定後、難治性皮膚潰瘍に対1する細胞培養シートによる治療の臨床応用のため、中動物への応用を予定している。
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