現在、再建外科においてマイクロサージャリーの手技を用いた組織移植による再建が主流となっている。この時組織は恵与部の動静脈と吻合して生着する。しかし恵与部に適当な血管がなかった場合、遠位の血管に移植静脈を介して吻合を行っている。この簡便な手技としてpreliminary AV shunt loopがあり、多くの施設で行われてきた一方で、乱流による血栓形成の危険性が指摘されている。そこで今回preliminary Av shunt loopモデルを作成し、AV shunt loopによって生じる乱流と血栓形成の関連性について明らかにする試みである。 まずウサギを用いたマイクロサージャリーにてAV shunt loopモデルを作成し、乱流と血栓形成の関連性について明らかにする事を目的に実験を開始した。 大腿動脈・静脈のみのAV shunt loopを作成し、各項目(血流量、血液粘度)を血管吻合時に計測し、血栓を形成するか観察した。全例で血管吻合後2時間以内に血栓を形成した。血栓を形成したAV shunt loopで標本作成し、血栓の性質、量、分布について評価した。 また実験条件変更して比較実験を行う。変更点としてAV shunt loop作成時にヘパリンを投与してみた。2時間以上血栓を形成せず、血流が保たれていた。連日ヘパリン投与したが、2週間後に傷を開け、直視下に確認したときには血栓形成していた。
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