遊離皮弁、特に穿通枝皮弁を挙上する際に、血管を結紮する部位を分枝部よりどのくらい離すべきかについては、長年、臨床家によって議論されてきたが、これを基礎学的に探求した報告は少ない。この実験の研究目的は、実験動物を用いて、主要血管から分枝する穿通枝を血管柄とする遊離組織移植術において、主要血管を分枝部の近くで結紮したものと、距離を置いて結紮をしたものの血栓形成率を比較することである。 ラットを用いて、左側では下腹壁動脈の分岐部より遠位側約2mmのところで10-Onylonにて結紮した後、分枝部より近位側に約5mmのところで血管吻合を行い、右側では、分岐部より遠位側約5mmのところで10-Onylonにて結紮した後、分枝部より近位側に約5mmのところで血管吻合を行った。下腹壁動脈の開存をforceps strip testを用いて吻合1時間後と1週間後に確認し、それぞれの開存率の差を確認した。 分岐部より約5mmのところで結紮した群は約2mmのところで結紮した群に比べて開存率が高い可能性が示唆された。
|