研究概要 |
カルシウム結合蛋白の一つであるCalreticulinは創傷治癒過程に関わる可能性が示唆されている。一方、この蛋白は脂肪組織由来蛋白であるAdiponectinど特異的に結合することが知られている。Adiponectinはμg/mlのオーダーで血中に大量に存在する蛋白であるが、糖尿病状態となると血中濃度が低下し、様々な病態の原因となる。AdiponectinおよびCalreticulinの創傷治癒過程への影響について調査した。 皮膚表皮細胞のCell lineであるHaCaT cellに対し、Recombinant Adiponectin蛋白の添加実験を行い、Western Blot法にてCalreticulinのシグナル伝達経路であるErkのリン酸化を観察した。その結果、Adiponectin蛋白の濃度依存的にErkがリン酸化されることを確認した。細胞数をカウントすることで増殖能について査したがadiponectin添加による変化は確認できなかった。また初代皮膚線維芽細胞についても同様め調査を行つたが、Adiponectin添加群との差は見られなかった。 また、マウス背部皮膚に直径6mmのデルマパソチにて皮膚全層欠損を作成し、経時的に創部を採取した。この組織を用いて免疫染色にてAdiponectin, Calreticulinが集積しているか観察したが、これらの蛋白の創部への集積は現時点では確認できていない。 その他、Adiponectin, Calreticulinそれぞれが独立してしてる能性だけでなく、これらの蛋白が体内でカルシウムなどのイオンと結合・結晶化して、創傷治癒に関わる可能性についても今後調査する。
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