研究概要 |
熱傷早期に発生する過剰炎症の正確な発生機序は不明である。近年、壊死組織由来の様々な内因性物質が免疫炎症系に大きな影響を与えていることが明らかになりつつある。本来、細胞内にとどまって生理的役割を果たしている細胞構成成分の細胞外への放出は、組織の異常発生を生体に認知させるalarminとして知られている。熱傷では、焼痂由来の大量のalarminが絶えず細胞外に放出され、その結果、免疫炎症系が多大な影響を与えていることが推察される。現在重症熱傷患者におけるalarminとして以下の2種類を測定中である。血液中HMGB1はELISAキットを用いて測定している。Ademosineは高速液体クロマトグラフィーで測定している。測定しえた症例数が少ないので断定はできないが熱傷重症度に応じてalarmin放出の増加している傾向が認められる。今後症例を重ねalarminの免疫炎症系に及ぼす影響、熱傷創部から放出されるalarminの種類、量、期間を検討する予定にしている。In vivoでは、マウス熱傷モデル(熱傷面積 : 5, 15, 30%)を作成して、血液、および熱傷創部浸出液中の各種alarmin濃度を経時的に測定する。その際、脾細胞における免疫活性、および血中のmediatorを同時に測定することにより、alarninが免疫能、炎症状態に与える影響を検討する予定である。
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