本来、細胞内にとどまって生理的役割を果たしている細胞構成成分の細胞外への放出は、組織の異常発生を生体に認知させるalarminもしくはdamage-associated molecular patternsとして知られている。熱傷では、焼痂由来の大量のalarminが絶えず細胞外に放出され、その結果、免疫炎症系に多大な影響を与えていることが推察される。現在重症熱傷患者におけるalarminとして血液中HMGB1はELISAキットを用いて、Adenosineは高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、熱傷重症度に応じてalarmin放出の増加している傾向が認められた。また同時に熱傷患者の凝固線溶系異常に関する検討も同時に行っている。その結果血中plasminogen activator inhibitor 1(PAI-1)が熱傷初期に著明に増加していることが明らかになった。すなわち凝固系の亢進と線溶系の抑制が生じることにより血栓傾向が強まり微小循環障害の一要因となっていることが示唆された。
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