本研究は、15種類のヒト口腔癌細胞株を用い、緑茶カテキン成分EGCG(epigallocatechin-3-gallate)のアポトーシス誘導機構を明らかにすることを目的とする。初めに、アポトーシス誘導性のZA株においてEGCGによって誘導される細胞内シグナルを解析し、カスパーゼ経路と同調してMAPKp38経路が活性化されることを見出した。次に、p38上流の因子として新規にc-Abl経路に注目し、EGCG処理後にc-Ablの核局在化が起こること、またc-Abl経路の阻害によりアポトーシスが抑制されることが実験により分かった。一方、アポトーシス非誘導性のHSC4株では、c-Abl遺伝子を導入することによってEGCGによるアポトーシスを誘導することができた。
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