研究課題
Porphyromonas gingivalisの外膜蛋白には病原性を有する多数のC-terminal domain(CTD)含有蛋白がある。我々はヘミン結合性蛋白(HBP35)に着目し、遺伝子発現、蛋白の機能解析、輸送機構の解明を行っている。前年度、抗HBP35抗体はDiffuse 50-90 kDa, 40-kDa, 27-kDa蛋白を検出し、そのうち、27-kDa蛋白は135番目のメチオニンから開始されること、また、hbp35遺伝子はmonocistronicに1.1kbの転写産物を産生すること、さらに菌体分画解析より、27-kDa蛋白は細胞質内にDiffuse 50-90 kDaは外膜に40-kDaは全ての画分に局在し、Diffuse 50-90 kDaはPorT依存性の輸送機構で外膜に輸送され、PorR依存性に糖鎖の修飾が起きることを明らかにしていた。本年度、組換え蛋白を調製し、40-kDa、27-kDa蛋白は共にヘミン結合性があること、組換え40-kDa蛋白はチオレドキシン活性を有し、活性部位の48番目と51番目のシステイン依存性であることを確認した。また、野生株、変異株および相補株を作製し、ヘミン制限液体培地による増殖抑制が相補株で部分的に相補されたことから、HBP35蛋白はヘムの利用、獲得に関与していると示唆された。一方、HBP35蛋白が抗酸化ストレス因子としての機能を担っているという直接的な結果は得られなかった。次に、CTDの最後の5個のアミノ酸領域を欠失する蛋白を発現する変異株を作製し、その株では、Diffuse bandsは検出されず、輸送の途中で蛋白分解が起こり、およそ30-kDaの分子が検出された。このことは、CTDは輸送シグナルであると示唆された。今後、CTDを直接認識する分子を同定することで病原性を減弱化させるような開発が期待される。
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Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 107
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http://www.nagasaki-u.ac.jp/main/gakujutsu/2009/gaku20091214.html