研究概要 |
歯牙再生における幹細胞の特異的マーカーの同定や完全な歯牙の形態再生は未だなされておらず、歯牙発生のメカニズムの解明が重要な鍵となる。マウスで歯牙発生において「歯牙形態形成の決定権」は、出生前後の間で消失することが報告されている。そこで、出生前後間で減少・消失した遺伝子を、マイクロアレイを用いて比較検討を行った結果、出生前後問で減少した既知遺伝子として、Aldhla2, Adamts4, Plxnc1などの遺伝子が抽出された。また、抽出された遺伝子群の中には現在、遺伝子配列は報告されているが機能や発現が未解明である遺伝子が数多く含まれており、既知の遺伝子よりも著明な発現差を持つものを認められた。そこで本研究では、これらの未解明遺伝子群内には歯乳頭における歯牙形成に関与し、さらに多臓器には発現していない歯牙固有となる遺伝子が含まれると考え、これらを比較検討し歯牙形成能を持つ歯乳頭固有の未分化マーカーを同定することを目的とした。平成20年度では、(1) マイクロアレイデータからの出生前後問に減少した未解明遺伝子の抽出と未解明遺伝子用のPrimer設計(2) 歯胚からのtotal RNA抽出ならびにRT-PCRでの遺伝子発現の有無の確認を主体に行ない、予備実験によりデータの集積を行ってきた。平成21年度では、その遺伝子発現の定量的な発現差を検討し、in situ Hybridizationによる局在検索を行っていく予定である。
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