研究概要 |
歯牙発生は、複雑な上皮-間葉相互作用からなっており、マウス臼歯においては出生前後で歯乳頭における「歯牙形成の決定権」が消失することが知られている。GeneChip Mouse Genome 230 2.0 Arrayを用いて、胎生16日(E16)、胎生18日(E18)、生後3日(P3)の各期間において減少・増加した遺伝子の検索を行ないGeneSpring Ver.7.3にて解析を行った。胎生期間であるE16-E18では、減少は2,269、増加は1,679であった。一方、出生前後間であるE18-P3では減少は3,130、増加は681であった。発現が減少した遺伝子群の中で2009年次に遺伝子のGene symbolやGene Ontologyにて機能等が登録されていない"未解明遺伝子"の抽出を行った。Fold値10以上の減少を示した未解明遺伝子はE16-E18で17個、E18-P3では16個が認められた。 出生前後問で著しい減少をした未解明遺伝子として、1430368_s_at(Fold値:33.22)、1446139_at(Fold値:26.71)、430222_at(Fold値:22.26)が抽出された。これらの結果より、マウス臼歯歯乳頭において出生前後間における遺伝子の発現変化は増加よりも減少する遺伝子が多く、これらの遺伝子群には既知遺伝子よりも有意に発現変化をする未解明遺伝子が含まれていたこと、これらが歯牙の形態形成に関与することが示唆された。
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