研究概要 |
歯の形態形成は, BMPsおよびTGF-βsなどの成長因子, Msxをはじめとする転写調節因子, その他Shh, Wntなどの関与が重要であると考えられている。しかし象牙芽細胞の分化に関与する遺伝子については, どの因子が重要であるのかはいまだ不明である。そこで本申請研究では, 歯髄sidep pulatin(SP)細胞を用いて象牙芽細胞分化因子のスクリーニングを行い, さらに正常発生における遺伝子発現および歯髄皮下移植実験系における象牙芽細胞誘導によりこの因子を同定することを目指し, 計画された。 6週齢雄性C57BL/6Jマウスの下顎切歯固有歯髄を歯から剥脱し, トリプシン-EDTAにて歯髄細胞を分離した。得られた歯髄細胞はHoechst33342添加DMEM中で90分間培養後, PI添加PBSにて懸濁し, SP細胞分画にゲートをかけてソーティングを行った。この歯髄SP細胞をハイドロキシアパタイート顆粒(Zimmer)と混和し, ヌードマウス皮下へ移植したところ, 6週後に硬組織形成を確認した。これらの移植片はRNAを抽出され, dspp遺伝子のPCR解析により約半数の割合で象牙質又は骨様組織が形成されることが示された。さらに, これら2種の硬組織から総RNA量50μgを抽出し, 転写因子に注目してmicro array解析を行った。現在, 発現の差が大きかった25種の遺伝子を象牙芽細胞分化因子の候補として挙げ, in situ hybridizationにより歯の発生過程での局在を検討している。また今後, 象牙芽細胞特異的にこれらの遺伝子を強発現させるトラ, スジェニックマウスの作成あるいは培養歯髄細胞に遺伝子を強発現後, 皮下移植および直接覆髄する実験を行う予定である。
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