研究課題
本研究目的は、唾液腺支配神経の終末におけるニコチン受容体の生理作用を解明し、このメカニズムを標的とした新規催唾剤を模索することであった。まず、酵素処理単離唾液腺腺房に対するCa^<2+>イメージング法行ったが、この手法は研究代表者にとって初めての経験であるため、十分な事前実験を踏まえてから、詳しいニコチン反応についての研究を行った。その結果、過去の多くの論文で報告されているような神経伝達物質に対するCa^<2+>応答性が、腺房と導管で神経伝達物質の種類により異なる反応を有することが明らかとなり、この結果に関してはAuton Neurosciに発表した。この条件において、唾液腺腺房にニコチンを投与後に細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が唾液腺腺房で引き起こされるものの、神経シナプス遮断によって大きく抑制されることから、支配神経終末を介していることが明らかになった。神経への脱分極刺激を目的として、高濃度カリウム刺激を行ったところ、ニコチンと同様のCa^<2+>反応が得られたため、単離腺房細胞標本には神経終末が付着していることが確認された。さらに各受容体アゴニスト、アンタゴニストの作用の結果から、α3β4受容体が関与している可能性が疑われた。これらの結果より、唾液腺支配神経終末のα3β4受容体を標的とした新規催唾剤の可能性が考えられる。現在は論文作成中であり、この課題における研究成果として、ほぼ目的を達成できたと考えている。また、さらなる実験として、in vivoでのニコチン受容体アゴニストの催唾作用についても検討を始めている。
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