1、下唇小唾液腺からの初代培養細胞の分離 : SS患者および健常者から採取した下唇小唾液腺はCollagenaseを用いて細胞分散処理を施したのちに、培養器としてcollagen-1コーティングした培養用フラスコ「スミロンセルタイト」(住友ベークライト)、培地として成長因子を添加したKeratinocyte-SFM(Invitrogen)+5%FCSを用いることで初代培養細胞(ヒト唾液腺由来細胞、HSGC)の分離が可能であった。この細胞は凍結後に少なくとも1回の溶解と継代培養が可能であり、再現性のある実験を行うのに有用であった。 2、SSにおけるIL-18およびTh17の発現 : SS患者の下唇小唾液腺におけるIL-17およびIL-18の発現の局在、および浸潤リンパ球のサブセットを免疫組織化学的手法により検討した。結果、SSでは導管上皮細胞にIL-17が、腺房上皮細胞にIL-18の発現が認められた。また浸潤するリンパ球の多くがIL-17を発現するCD4陽性細胞であったことより、Th17優位であると考えられた。 3、唾液腺細胞におけるIL-18およびIL-17の相互作用 : IL-6およびIL-8の産生誘導をELISA法で測定することにより、IL-18およびIL-17のHSGCへの作用について検討した。結果、IL-18とIL-17で共刺激することによって、HSGCからのIL-8の産生が増加した。このことはSSの唾液腺に発現するIL-18が、浸潤するTh17から産生されたIL-17と共同して炎症メディエーターの産生を誘導することにより、病態発現に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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