研究課題
小児白血病患者の造血幹細胞移植の前処置として放射線照射を行うことが知られているが、その影響により歯根形成が障害されることが報告されている。本研究の目的は、放射線照射した際の歯根形成への影響とそのメカニズムを解明することである。そのため、C57BLマウスを使用し、歯根形成開始期とされる生後5日齢の頭部に放射線を照射し、歯根形成に与える影響を観察した。初年度(平成20年度)は、予備実験としてコントロールである非照射のマウス臼歯の経時的な形態変化の観察と放射線の照射条件の検討を行ったが、本年度(平成21年度)は放射線照射による組織形成への影響を観察するため、歯根形成障害が起こる線量を照射し、その影響についてエックス線学的観察と組織学的観察にて解析を行った。以下、平成21年度に行った概要を示す。1.エックス線学的解析前年度の結果より、生後11日齢を根分岐部が完全に完成している時期、生後21日齢を歯根がほぼ完成している時期と定義し、それぞれのステージにおける放射線照射量の違いによる歯根形成の違いをソフテックス撮影、マイクロCT撮影による観察と解析を行った。本検討により、5Gyの照射で歯根が短くなることを確認し、10Gyで明らかな形態変化が確認された。2.組織観察エックス線解析により歯根形成障害が確認されるサンプルに対し、HE染色とBrdUの取り込み実験と細胞増殖マーカーであるPCNAの免疫染色を行い、歯根形成に重要な役割を果たすとされているヘルトヴィッヒ上皮鞘とその周囲組織について重点的に観察し、細胞レベルでの放射線照射の影響についての解析を行っている。
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日本歯科医師会雑誌 62巻(3月号)
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http://www.tky.ndu.ac.jp/faculty/87.html
http://www.ndu.ac.jp/t.nakahara/