研究概要 |
「材料および方法」X線造影性のないコンポジットレジン、SOLARE(A3、GC)に疑似一級窩洞(5×5×5mm)を作成し実験用試作コンポジットレジン(A3、トクヤマデンタル)を、CRセップIII(クラレメディカル)を塗布した窩洞に充填した。続いて光照射(デンタポート、モリタ)前、光照射後それぞれに、試料の3D画像をマイクロCT(TDM1000、ヤマト科学)にて撮影した。得られた3D画像よりマーカーとなるフィラーを専用ソフト(ラトックシステムエンジニアリング)にて抽出し、窩洞内の全てのマーカーフィラーの重合前、重合後の座標を測定した。窩洞をZ軸に対し垂直に200の領域に分割し、各領域に含まれるマーカーフィラーのZ軸方向の平均移動量を算出し、マーカーフィラーの平均移動量と窩洞深さで回帰分析を行った。その後ダイヤモンドブレードにて試料を半切し、微小硬さ試験機(ENT-1100a、エリオニクス)にて窩洞内の試作コンポジットレジンの硬さを、深さ0.5mmごとに計測した。 「結果および考察」微小硬さ試験において窩洞深さ3.5mmまでの試作コンポジットレジンの微小硬さは、ピーク硬さの80%以上であった。すべてのマーカーフィラーは重合後、光源方向へ移動しており、窩洞深さが3.5mm以内において、マーカーフィラーの平均移動量と窩洞深さに強い相関がみられた(R^2=0.9102, p<0.05)。 「結論」非接着窩洞におけるコンポジットレジンの重合収縮挙動は、コンポジットレジンが十分重合した場合窩洞の深さに強い影響があることが認められた。またマイクロCTと専用ソフトを使って重合収縮挙動を可視化する方法は、光重合型コンポジットレジンの重合収縮を検証する方法として有効であることが示唆された。
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