研究概要 |
「研究目的」コンポジットレジンの重合時に発生する重合収縮は避けられない事象である。歯質と修復物との間の接着界面にギャップやマイクロリーケージクを引き起こし、術後疼痛、細菌侵入による二次う蝕や歯髄炎の原因となることが考えられる。従来から光重合型コンポジットレジンは光の照射方向に収縮すると考えられてきた。これらの重合収縮時における挙動は有限要素法やレーザースペクトル法により研究、解析されているが、重合に伴う収縮の挙動を直接観察できる手法は少ない。本実験ではコンポジットレジンで作られた疑似一級窩洞に実験用に試作したコンポジットレジンを充填し、接着窩洞又は非接着窩洞において、光照射前と光照射後の試作コンポジットレジンをマイクロCTにより撮影し、微小硬さと併せてコンポジットレジンの重合収縮挙動の解析を行った。「結果および考察」微小硬さ試験において窩洞深さ3.5mmまでの試作コンポジットレジンの微小硬さは、ピーク硬さの80%以上であった。マーカーフィラーは重合後、接着窩洞では窩洞表面から1mm下に、非接着窩洞では光源方向へ移動していた。接着窩洞では窩洞深さが3.5mm以内において、マーカーフィラーの平均移動量と窩洞深さに強い相関がみられた(R^2=0.976,p<0.05)。今実験における疑似一級窩洞では、コンポジットレジンの重合度が80%以上の領域において、マーカーフィラーの移動量は窩洞の深さが深くなるに従い、大きくなることが判った。「結論」非接着窩洞におけるコンポジットレジンの重合収縮挙動は、コンポジットレジンが十分重合した場合、窩洞の深さに強い影響があることが認められた。またマイクロCTと専用ソフトを使って重合収縮挙動を可視化する方法は、光重合型コンポジットレジンの重合収縮を検証する方法として有効であることが示唆された。
|