研究概要 |
本研究では、歯髄炎における自然免疫機構の役割を解明することを目的とし、PAMPs刺激を受けた歯髄細胞におけるケモカイン(IL-6,IL-8,MCP-1)の産生をELISA法を用いて定量した。その結果、各PAMPs(TLR-2 ; Pam3CSK4,TLR-4 ; E.coli LPS,NOD-1 ; iE-DAP,NOD-2 ; MDP)刺激を受けた歯髄細胞から刺激後8時間および24時間でIL-6,IL-8,MCP-1の有意な産生上昇が認められた。また、う蝕細菌であるStreptococcus mutansにて歯髄細胞を刺激すると刺激後24時間でも同様の結果が得られた。さらに、各PAMPs刺激を受けた歯髄細胞におけるカテキンの影響を解析するため、S.mutansのほか口腔細菌であるS.sanguinisやS.salivariusにて歯髄細胞を刺激する際にカテキンを同時に添加しIL-8の産生量をELISA法にて定量した。その結果、epicatechin gallate (ECG)あるいはepigallocatechin-3-ganate (EGCG)を添加することによりカテキンの濃度依存的にIL-8産生は抑制された。また、Pam3CSK4やLPSあるいはMDPにて歯髄細胞を刺激する際にECGあるいはEGCGを添加するとIL-8およびPGE2の産生量はカテキンの濃度依存的に抑制された。さらにこの時のIL-8およびCOX-2のmRNA発現をRT-PCRにて解析すると、カテキンによる各遺伝子発現の抑制が認められた。
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