以前、予備試験において骨芽細胞分化因子であるアルカリフォスファターゼの活性を測定した結果、有意に増加の見られた総濃度0.1%(w/v)になるようにフィッシュコラーゲンペプチド(FCP)粉末をα-MEMに添加後、その培養皿に、ヒト培養骨芽細胞(NOS-1細胞)を2×10^5 cells播種して37℃、5% CO_2下にて培養を行った。FCP溶液を含まない培地で培養したものをコントロール群とした。まず、培養1、3、5、7日目に血球計算盤を用いて細胞数の計測を行った。細胞数の計測結果は、student t-testを用いて統計学的に分析した。さらに培養3、7日目に、Trizol[○!R]試薬で総RNAを抽出後、cDNAを合成、骨芽細胞の増殖・分化に関連するosteocalcin、osteopontin、BMP-2、integrin β3の遺伝子に関してリアルタイムPCR解析を行った。細胞数の計測実験では、培養1、3、5、7日目の全てにおいて、FCP群がコントロール群よりも有意に高い増殖を示した(p<0.05)。リアルタイムPCR解析においては、培養3日目で、FCP群のosteocalcin、osteopontin、BMP-2、ALP、integrin β3遺伝子はそれぞれ、3.7、1.3、3.4、1.7、2.2倍の発現を認めた。7日目では3日目よりも各遺伝子の発現は減少していたが、osteopontinとintegrin β3では依然として高い発現を示した。本年度の研究結果により、FCPは、ヒト骨芽細胞の増殖や分化を促進する効果を有する天然機能性素材であることが示唆された。
|