研究課題
近年、レーザーは歯科領域において歯質切削、根管内の洗浄、歯石除去、軟組織の疼痛緩和など様々な方法で臨床応用されている。2波長発振レーザーはレーザーダイオードによりNd : YAG(波長1.06μm)を励起して、その後オプティカルパラメトリック発振器(OPO)により波長を変換して2.1μmを境に長波長側、短波長側に同時に波長を可変出来る2波長のレーザーを得る装置である。このことにより1.6から4.0μmの波長域のレーザー光を得ることと、また2波長同時に発生することが可能な装置である。感染象牙質とは齲蝕原因菌から産出される酸によって無機質が脱灰され、コラゲナーゼによって有機質が分解されることにより成立するという科学細菌説によって説明されている。2.94μmは最表層の殺菌効果が期待できる反面、深部への殺菌効果期待できないと考えられ、ある程度の象牙質通過性を有するレーザーが、残存象牙質の殺菌に有効と考えられる。2.94μmの水分子に反応する性質により、水分を多く含んでいる象牙質が切削されると推測される。そこで、齲蝕を想定し人工的に脱灰したウシの象牙質の脱灰象牙質の硬さと2.94μmの切削の関係を検討した。脱灰程度に比例し切削量が増加したが、ある一定の硬さの象牙質は、実験に使用した照射条件で切削に有意な違いが認められなかった。2つの波長が齲蝕原因菌に対する影響を検討した結果、菌数の減少が認められた。その効果は出力などの条件により異なるため、照射条件の検討が必要である。
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Photomedicine and Laser Surgery. November 2008, ahead of print 27
ページ: 395-399