研究概要 |
光重合型レジンをはじめとする審美性修復材料は, それぞれ優れた材料ではあるが, 臨床的な寿命は短く, 10年以内に再修復処置という転帰をとっている。そこで, 光重合型レジンあるいは光硬化型グラスアイオノマーセメントなど審美性修復材料の表面摩耗, 辺縁小破折あるいは変色などに対して, 問題箇所を部分的に削除して補修することによって旧修復物本体をそのまま再利用する, 補修修復が提案されている。 しかし, 修復材料の表面摩耗および辺縁小破折においてはエナメル質が影響を及ぼす因子の一つと考えられる。また, シングルステップは最近数多く使用されてはいるものの従来の接着システムと比較すると接着強さが低いとの報告もされている。そこで, 今回歯面処理操作に着目しシングルステップシステムにおけるエナメル質の接着強さについて検討を行った。 ウシ下顎切歯を常温重合レジンに包埋し, エナメル質表面を#600のSicペーパーで研磨した。2種類のシングルステップシステムをエナメル質表面にブラシでアクティブ処理しなかったものと, アクティブ処理したものにコンポジットレジンを円筒形テフロン型に填塞, 圧接後に光照射を行った。各試料は10個とし, 剪断接着試験および接着強さ測定後の破壊形式を観察した。また, 接着界面を観察するためにFE-SEM観察を行った。 その結果, アクティブ処理したものの方が, アクティブ処理しなかったものより接着強さは高い傾向を示した。接着界面においては, アクティブ処理を行ったエナメル質表面は粗くなる傾向を示した。
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