歯科疾患の処置には病的部位の除去操作を伴うことが多く、特に歯の保存治療では齲蝕罹患歯質の除去や根管内容物の除去などが必要とされる。現在行われている罹患歯質の除去法は、エアータービンやエンジン用回転切削器具を用いる方法が最も一般的であるが、近年では削除量を最小限にするため様々な技法が検討されている。そこで本研究は、齲蝕罹患歯質や再根管治療時の根管内容物の除去操作に対するウォータージェット技法の応用の可能性について検討することを目的とした。 本年度は、主に実験に必要となる小型ウォータージェット噴射機の試作を行った。医科の分野において外科手術時に使用するウォータージェットメスや、管状構造の器具の洗浄などに用いる高圧水流装置を製造しているスギノマシン社に依頼し、既存の機械を本実験用に噴射出力等の仕様を変更して使用することを検討したが、困難であることがわかった。また、その他に歯科器材を取り扱う業者とも種々の検討を行ったが、使用可能な器材、もしくは仕様の変更が可能な装置はなかった。そのため、工業用の小型高圧ポンプを用いて新規に設計し、独自の試作機を作成した。 その他、基礎的実験としてヒト抜去歯を用いて人工的に齲蝕象牙質を作成する方法について検討し、その硬さについてデータを採取した。また、根管充填材の劣化方法について検討すると同時に、その硬さについてデータを採取した。
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