研究概要 |
(目的)本研究では、組織再生因子CCN2の内軟骨性骨化における多様な生理作用と細胞外環境因子との関連を解明するために、マウス脛骨における二次骨化中心形成において、その遺伝子発現とタンパクの局在をin situ hybridization法と免疫染色法によって経時的に組織学的検討を行った。同時にCCN2が特異的に集積する細胞外環境について細胞外マトリックス(パールカン)と細胞外プロテアーゼの局在について検討を加えた。 (方法)実験動物にはマウスを用い、二次骨化中心形成過程(生後1,3,7,14,28日)における膝関節組織を摘出した。各群4匹(計20匹)。その後、通法に従いパラフィン包埋を行い、厚さ7μmの連続切片を作製した。 (結果)二次骨化中心の形成は、生後7日後、骨端部の血管侵入により開始し、骨端部中心あたりの軟骨細胞は肥大化を認め、14日後には、同部位に骨化中心が認められた。CCN2のmRNAの発現は7日後では、骨端部において軟骨膜から派生する軟骨管組織に一致してみられ、14日後では骨化中心周囲の血管内皮細胞ならびにColXの発現を認めない未熟な軟骨細胞に発現を認めた。CCN2のタンパクは7日後では、骨端部中心付近の軟骨細胞に、また14日後以降は骨化中心周囲のいずれも肥大化傾向の軟骨細胞に局在した。興味深いことにこのような軟骨細胞には、パールカンの共局在がみられた。さらに二次骨化中心周囲では、CCN2とMMP9との共局在が観察された。 (考察)組織再生因子CCN2は、二次骨化中心形成において骨端部の血管新生誘導因子としての重要な役割を担い、その後の骨化にMMP-9とともに関与することが強く示唆された。また、二次骨化中心形成過程に発現するCCN2は、骨端中央部のパールカン陽性の肥大化傾向を示す軟骨細胞に集積する傾向を示した。多様な細胞から産生されたCCN2がこれらの細胞へ蓄積することは、パールカンのCCN2シグナル伝達における役割にのみならず、その選択的捕捉機能をも示唆している。
|