研究概要 |
本年度は研究計画遂行にあたり、ポリリン酸が骨再生に及ぼす効果について材料試験、in vitroおよびin vivoにて検討を行い、実験系の確立を目指した。材料試験では、作成したプレ・インテリジェント人工骨(ポリリン酸濃度1, 5, 25, 50%)の特性について、表面構造(SEM)、吸着状態(トルイジン青染色)および溶出動態(遊離リン酸測定)を測定した。その結果、担体の三次元的構造を維持したまま、担体内部全体にまでポリリン酸は吸着しており、吸着させたポリリン酸は早期に遊離されることを確認し、材料特性を明らかとした。in vitroではポリリン酸が細胞動態に及ぼす影響について成長因子の一つであるbFGFとの相互作用も含め、細胞増殖および石灰化促進についてMC3T3-E1細胞を用いて検討した。その結果、ポリリン酸とbFGFと併用することで細胞増殖を促進し、ポリリン酸の石灰化促進も明らかとなった。in vivoではプレ・インテリジェント人工骨をニュージーランドホワイトラビットの大腿骨骨窩に各埋入を行い、観察期間1および2週における骨再生状態を組織学的ならびに組織形態学的に検討した. その結果。ポリリン酸濃度25および50%のプレ・インテリジェント人工骨が観察期間2週例において優位に骨再生を促進した。以上の結果により、インテリジェント人工骨の開発にあたり、材料特性および有効ポリリン酸濃度を明らかとした。
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