研究概要 |
本研究は, 脳波解析による歯科治療効果の客観的評価法を確立すること. および生体における咬合の意義について, 脳波学的な指標をもって解明することを目的としている. そのため, 既存の「脳波記録解析装置」と顎機能解析機器に加え, 新規に導入した「多目的重心動揺計測システム」を有機的に結合した. すなわち, 平成20年度までに, 咬合の適正なリコンストラクションが足圧分布・重心動揺などの全身的なバランス能力に及ぼす影響について, 「多目的重心動揺計測システム」により評価を行えるよう, 小規模な予備実験を繰り返し検証した. その結果, 顎位に起因する口腔感覚の変化を想定し, その際に発現する脳波と顎口腔機能および「多目的重心動揺計測システム」による足圧分布・重心動揺との関連を時系列で詳細に検討することが可能となった. 今後, 本システムと既存の顎機能解析機器による顎口腔機能評価および「脳波記録解析装置」による心理状態の推定評価との関係について時系列で詳細に分析し, 咬合のリコンストラクションによる顎位および咀嚼機能の回復が, 全身的な健康ならびにストレスなど情動系脳機能に与える影響について解明し, 脳波解析による歯科治療効果の客観的評価法の有用性について検証したい. これらの検討により, 歯科治療効果が及ぼす心理的, 機能的影響について, 脳波学的指標を用いて推定評価できると予想される. これらにより, 歯科臨床の評価基準に新たな視野を展開できるものと考える.
|