| 研究概要 |
本研究は申請者がこれまで培った表面処理技術ならびに解析技術をもとに, 耐加水分解性にすぐれたアルキルホスホン酸を用いて,
(1) ナノレベルで制御された表面官能基やサイトカインを有するチタン表面の作製
(2) チタン表面上でのアルキルホスホン酸およびサイトカインのリアルタイム相互作用解析を行うことにより, 長期間にわたり組織接着性・骨再生能を有するチタンインプラント表面の改質法を確立することを目指している.
(1) において加水分解耐性を有し, 末端にメチル基・カルボキシル基・アミノ基を有するアルキルホスホン酸を用いて, チタン表面に様々な割合の表面官能基を導入することにより, チタン基板表面にメチル基・アミノ基を導入し、さらにアルキル鎖長の異なるアルキルホスホン酸を用いることで、表面電荷や表面自由エネルギーを制御することができた。これにより、サイトカインがチタン表面に接近・結合しやすくなる。
(2) において(1)の表面処理過程を, ナノレベルで申請者が独自に開発したチタンSPRセンサーを用いてリアルタイムかつナノレベルで厳密に測定することにより, 酸緩衝液中に混合したアルキルホスホン酸が, チタン表面が酸でエッチングされることにより, エッチングにより活性化しているチタン表面に結合していることが示された.
これらの結果と引き続き平成21年度に行う研究を基に確立される, 本研究で開発を目指すアルキルスルホン酸を用いたチタン表面改質とサイトカインの長期間固定化技術は, チタンインプラントの組織接着性と骨再生能を著しく向上することが期待できる.
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