研究概要 |
ポリウレタンフォームをテンプレートとしてα-TCPフォームを調製した。α-TCP粉末を蒸留水と混合して調製したα-TCPスラリーをポリウレタンフォームの骨梁に付着させ, 室温で乾燥した。その後, 1℃/minで400℃まで昇温してポリウレタンフォームを焼却し, 続いて5°C/minで1550℃まで昇温して5時間保持することでα-TCPを焼結させた。得られたα-TCPフォームを4mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液とともに耐圧容器に密封して, 100℃で72時間保持することにより, 海綿骨に類似した三次元連通気孔構造を有するフォームが得られた。水熱処理前後のフォームの形態を巨視的に観察した結果, フォームの三次元連通気孔構造は水熱処理後も保持されていた。SEM観察の結果, 水熱処理前のフォームの骨梁は平滑な表面であったのに対し, 水熱処理後の骨梁は微細な結晶の集合体から構成されていた。XRD分析によれば, α-TCPフォームは水熱処理後にアパタイトに相変化していた。さらに, FT-IR分析の結果, 1400-1500cm^<-1>に炭酸イオンのピークが確認されたことから, アパタイト構造中のリン酸イオンの一部が炭酸イオンに置換されたB型炭酸アパタイトが生成していることが分かった。CHN分析の結果から, 得られた炭酸置換アパタイトの炭酸含有率は約11%であった。以上の結果から, α-TCPフォームを炭酸塩水溶液中で水熱処理すると, 水曜液中で熱力学的に不安定なα-TCPが溶解し, 熱力学的に安定な炭酸アパタイトが析出することにより, 三次元連通気孔構造は保持されたまま相変化し, 炭酸アパタイトフォームが得られることが明らかになった。
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