研究概要 |
α-TCPを4mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(Na_2CO_3)もしくは炭酸アンモニウム水溶液((NH_4)_2CO_3)とともに耐圧容器に密封して,200℃で24時間保持することにより得られた炭酸アパタイト(CAp)の細胞評価を行った。定量性を向上させるためにフォームと同様の処理方法でCApディスクを作製し、その表面で骨芽細胞の接着性、増殖性および分化能を評価した。まず、播種7時間後の細胞接着率を評価したところ、比較として用いた焼結アパタイト(HAp ; 1200℃, 5h)に比べて、CApは優位に高い値を示した。増殖性についてもCApはHApに対して極めて優位に高い値を示した。次に、破骨細胞に対する活性(TRAP陽性)を調べたところ、評価した全ての試料に対してTRAP陽性反応が見られたが、予想に反してCApはHApに比べて僅かに低い値を示した。これはCApからのCa^<2+>の溶出により周囲のCa^<2+>濃度が局所的に高まり、破骨細胞の機能性が低下した可能性と電子顕微鏡により観察されたCApとHApの表面構造の違いに起因していると考えられた。また、破骨細胞による材料表面の吸収禍は(NH_4)_2CO_3を用いて作製されたCApとHApには見られず、Na_2CO_3を用いて作製されたCApにのみ顕著に観察された。この結果はCApを構成する粒子形態に起因すると結論付けた。次に、兎の頸骨に作製した骨欠損に上述の手法を用いて作製したCApフォームを埋入し、in vivoで骨伝導性を評価した。4週間埋入後の組織切片を観察すると、CApフォームのマクロポアーの内部には新生骨が形成している様子が観察され、その近傍では活発に骨形成が行われている様子が観察された。また、埋入された材料の一部が吸収されている様子も観察された。以上の結果から、α-TCPを4mol/L Na_2CO_3で水熱処理することで得られたCApは骨リモデリングサイクルに取り込まれる骨置換材料として極めて有用であると結論付けた。
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