研究概要 |
歯周組織再生のキーポイントは歯根表面に沈着するセメント質と周囲骨とを牽引する歯根膜をいかに再生するかである。我々は歯根膜細胞に着目し、歯根膜シートを大型動物に移植することで、その有効性を確認した(Biomaterials,2009)。温度応答皿を用いることで細胞のみならず、細胞外マトリックスを移植することが本法の肝であると考えており(Periodontol 2000,2009)、歯根膜細胞が分泌する細胞外マトリックスを基礎的なアプローチで研究することが重要であると考えられる。 そこで本学倫理委員会承認の上で、ヒト歯根膜細胞41サンプルの定性・定量試験を行い、細胞外マトリックスの遺伝子発現をリアルタイムPCR法を用いて網羅的に解析した。対照群として、骨髄由来間葉系幹細胞と歯肉線維芽細胞を用いて、各種遺伝子発現を検討した結果、Periostin遺伝子、S100A4遺伝子が歯根膜細胞に高発現していることが明らかとなり、免疫組織科学的な解析から両遺伝子が歯根膜組織に強く発現していることが観察された(論文投稿中)。 今後は、本研究で得られた知見を元にこれらの分子の生理活性を検索していきたいと考えている。
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