| 研究概要 |
MIの概念に基づいたウ蝕治療を行うためオゾン(O_3)の静菌効果を利用し感染歯質の削除を行わずに, ウ蝕病巣の再石灰化を期待するウ蝕治療法が開発され応用されている. オゾンは3つの酸素原子からなる分子であり, 酸素はレジンの重合を阻害する最大の因子である. そのためオゾンが被着面に残存し, 接着界面のボンド層の物性に影響をおよぼし, 接着耐久性にも影響することが懸念される. 本研究の目的はオゾン処理象牙質面における接着界面の機械的特性について検討を行い, ウ蝕治療におけるオゾン療法の可能性について論議することである.
これまでにコンポジットレジンは時間の経過とともに硬さが徐々に上昇ことが報告されている. そこで本実験を開始する前に, 使用ボンディング材である2ステップセルフエッチングシステム(クリアフィルメガボンド)および1ステップセルフエッチングシステム(クリアフィルトライエスボンド)のボンド表層硬さを経時的に測定した. その結果, ボンディング材の硬さは光照射後, 時間とともに上昇し続け, 24時間以降, 安定することが明らかとなった. 以上より, 本実験における硬さ測定は試料作製後24時間経過してから行うこととした.
ヒト象牙質ディスクを#600耐水研磨紙にて研削しこれを被着面とした. 実験群においては被着面に対しオゾン照射処理(ヒールオゾン)を60秒間施し, 対照群ではオゾン処理をせずに, 上記のボンドをメーカー指示に従い塗布, 光照射を行った. 24時間保管後, 試料断面におけるボンド層の硬さ測定を行った. その結果, メーカー指示に従い試料作製を行った場合, ボンド層の厚みは5μm程度と非常に菲薄な層であり硬さ測定時に測定用圧子が適正に圧入できず, 測定が困難であることが判明した.
今後, ボンドを厚く塗布するなどといった対策を行い, 引き続き検討を行う予定である.
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