研究概要 |
直接法による栓塞子作製を念頭におき、FRCフレームワークに関する材料科学的検討を行った。FRCは幅5.0mm,厚さ1.0mmの棒状に規格化された態で完成すちよう、光重合器丈(UniXS II, ヘレウスクルツァー)にて3分間光重合させた。FRCを構成するガラス繊維は、アクリルシラン処理された繊維径20μm(旭ファイバーグラス)のものを使用し、マトリックスレジンはUDMA : TEGDMA=1:1, 1:2, 1:3の3種を調合し採用した。直接法ということで、FRC補強を行う材料は通常の床用レジンではなく、硬質の床裏装材や修理用レジンを対象とした。ISO1567に準拠した板状の試料(2.5×10×65mm)を作製し、試料の中心部にFRCの硬化体が配置されるとう、試料を完成させた。試料は37℃の蒸留水中に50時間浸漬後、オートグラフ(AGS-J, 島製作所)にてクロスヘッドスピード5mm/min、支点間距離50mmので三点曲げ試験を行った。得られた結果に対し、一元配置分散分析とNewman-Keuls多重比較検定を行った。信頼区間は95%とした。今回、3種の床裏装材と2種の修理用レジンに対してこのような実験を行ったところ、FRC補強を質っや試料は補強なしの試料に対して、1.5〜1.7倍の曲げ強さを示した。これは一般の加熱重合型床用レジンを有意に上まわる強さであった。3種のマスレジン間において強度に有意差は認めなかった。今回の結果から、FRCをフレームワークとして床裏装材や修理用レジンにて栓塞子を構成した場合の曲げ強さは、臨床応用に十分耐えるものであることが示唆された。このことは栓塞子のレジンの厚みを従来より薄く作製することが可能であることを意味しており、上顎の顎補綴物の軽量化に寄与するものであることを示すものである。
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