研究概要 |
1) 神経因性疼痛モデルラットの確立 Yoneharaらの方法に準じて下歯槽神経結紮モデルラットを確立したが、まだ、100%の確率でモデルラットを作成することはできていない。その理由として、下歯槽神経が下顎骨内を走行するために、神経を結紮する手術操作が非常に困難であること、さらに手術侵襲によるラットの疼痛反応の複雑さが考えられる。現在まで、30〜40%の確率での神経因性疼痛モデルラットが作成できるようになっていると考えられるが、今後、結紮部位を検討し、神経結紮手術による個体差などを低減させるようなさらに効率の良い作成方法を検討し、実践する必要があると思われる。 典型的な神経因性痔痛による反応が認められたラットでは、Yoneharaらの報告と同様に、手術後1週間から2週間での疼痛閾値の低下が下歯槽神経結紮側で認められた。 2) セロトニン受容体の網羅的検索 下歯槽神経に発現するセロトニン受容体を網羅的に検索するために、ラット下歯槽神経摘出標本からmRNAを抽出し、受容体特異的なプライマーを用いてRT-PCRにより、発現しているセロトニン受容体サブタイプを検索した。下歯槽神経mRNA標本からセロトニン受容体サブタイプのうち、5-HT2A受容体の発現は確かめられたが、5-HT3の発現は現在までのところ認められていない。その他受容体に関して5-HTIB, 1D, 2Cなどについてはプライマーの設定と検証を行っているところである。
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