1) 神経因性疼痛モデルラットの確立 昨年度に引き続き、モデルラットの作成を行っている。神経を結紮する手術操作が非常に困難であること、さらに手術侵襲によると考えられるラットの痔痛反応のばらつきにより、いまだ完全には計画通りに作成できないが、統計的に有意な差が結紮側とコントロール側で比較した場合に認められるので、高率で神経因性疼痛モデルラットが作成できるようになっていると考えられる。 2) セロトニン受容体の網羅的検索 他の神経結紮動物モデルならびに、神経因性疼痛に関与している内因性物質を散見すると、上記モデルラットでの神経因性疼痛にセロトニン受容体が関与していることが示唆されるので、まず、下歯槽神経に発現するセロトニン受容体mRNAを網羅的に検索した。ラット下歯槽神経摘出標本からmRNAを抽出し、13種類のセロトニン受容体サブタイプ特異的なプライマーを用いてRT-PCRを行い、そこに発現しているセロトニン受容体サブタイプのmRNAを検索した。しかし、現在のところプライマーなどさまざまなPCRの条件が確立せず、いまだ、具体的な確実性のある結果が残念ながら出ていない。今後、RT-PCRの条件検討をおこない、13種類のセロトニン受容体サブタイプのうち確実に発現しているセロトニン受容体mRNAと発現していないmRNAを検証し、神経結紮後の神経線維とコントロール側の神経線維でのセロトニン受容体mRNAの発現変化を翌年度に繰り越すことになるが、引き続き検討していく。
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