研究課題
本研究では、p53調節因子であるAMPKに着目し、臨床切片を用いて免疫組織化学的にその発現を検出し、アポトーシス関連タンパクとの関係や臨床病理学的所見との関係を検討することを目的とし、研究を行った。その結果、免疫組織化学的にAMPKの発現を認める臨床切片は少なく、臨床病理学的因子との間に相関関係は認めなかった。しかし、p53と臨床病理学的因子との関係において、陽性細胞率が25%以上の症例に低分化で高浸潤性の症例が多く、生存分析において予後不良となるとの結果であった。また、Bcl-2陽性もしくはBax陰性の症例において予後不良となり、Bcl-2陽性でなおかつBax陰性の症例は非常に予後不良となることが示唆された。よって、p53ならびにBcl-2、Baxの発現を検討することが、予後を推測する上で有用であると考える。さらに、口腔扁平上皮癌由来細胞株におけるアポトーシス関連因子のmRNA発現量を定量的に計測した。その結果、細胞株ごとにそれぞれの因子の発現にばらつきがあり、癌浸潤様式とそれぞれの因子のmRNA発現との間に相関関係は認めなかった。しかし、AMPKα1ならびにAMPKβ1は浸潤様式3型由来の細胞株に高発現しており、AMPKα2に関しては浸潤様式4D型由来の細胞株に高発現している傾向にあった。また、p53のmRNAの発現は浸潤様式4D型由来細胞に高発現していた一方、アポトーシス促進因子であるbaxは浸潤様式4D型由来細胞よりも浸潤様式3型由来細胞に高発現していた。しかし、p21、Bcl-2、Bcl-XLのmRNA発現と浸潤様式との間に相関関係は認めなかった。以上の結果より、各々の細胞において活性化されるアポトーシス関連因子が異なることが想像でき、今後のAMPK活性化薬剤の使用によりどの因子が大きく影響を受けるのか検討することが可能となった。
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Pathology and Oncology Research (掲載予定)
Journal of Oral Pathology and Medicine 37
ページ: 364-371
Pathology and Oncology Research 14
ページ: 57-61