口腔扁平上皮癌の浸潤様式である山本-小浜分類4D型由来細胞株であるHOC313細胞、4C型由来細胞株であるOSC-19細胞ならびに3型由来細胞株であるOSC-20細胞を使用し、AMPK活性化薬剤であるAICARを直接作用させ、細胞の増殖に対する効果を検討することを目的とし、研究を行った。まずは濃度依存的効果を検討するため、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10mMの濃度に調整し、作用させた。その結果、いずれの細胞も濃度依存的に細胞増殖抑制効果があることが確認できた。次に、時間依存的効果を検討するため、2mMのAICARを24、48、72時間作用させた。その結果、いずれの細胞も時間依存的にも細胞増殖抑制効果があることが確認できた。 さらに、高浸潤性・高転移性を有する4D型由来細胞株であるHOC313細胞を用い、2mMのAICARを1、2、4、8、24時間作用させ、その細胞質内のタンパク質を抽出し、AMPKαならびにその活性型であるPhospho-AMPKαの経時的変化をWestern Blot法を用いて検討した。その結果、AMPKα、Phospho-AMPKαともに経時的に発現量の増加を認めた。 以上の結果より、浸潤様式の異なる3種類の細胞いずれにおいても、AMPK活性化薬剤であるAICARの細胞増殖抑制効果が確認できた。今後、AICARの使用によるその他のアポトーシス関連タンパクの変化を検討することが必要と考える。
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