研究概要 |
本研究の予備研究として、臨床サンプル(口腔癌組織)24例を用い、Bcl-2 family遺伝子および遺伝子産物の発現と術前放射線・化学療法の治療効果との相関を比較検討し、 1) 癌組織では正常に比べてBaxの発現が有意に低下していること 2) 治療抵抗性の癌組織においてBcl-2高発現例が多い傾向を示すことを明らかとした。 次いで、Bcl-2遺伝子/遺伝子産物の検索が口腔癌の術前治療効果の予測因子と成り得るか否か、また、Bcl-2 familyの中の、どの因子が重要な役割を担っているのかを明らかとするために、岐阜大学医学部附属病院歯科口腔外科にて、口腔扁平上皮癌と病理組織学的に診断された患者より、初診時、無治療状態で採取した試験切除標本の一部を研究サンプルとして集積した。また、各々のタンパク発現の有無及び発現様式の検討を行うために、Bax、Bcl-2タンパクとp53タンパクを対象として標本の免疫組織学的染色の準備とBcl-2 family遺伝子解析のための準備を行った。さらに、両者の解析と外科的切除を行った切除標本を検討し、大星・下里の分類に従いI, IIa, IIb, III, IVの4型に分類し治療効果の判定とBcl-2 family遺伝子発現との相関性を検討する資料整理を行い、現時点では成果を公表する段階には到達していないが、次年度以降に於ける詳細な解析のための準備と成果発表に向けた作業を推進した。
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