研究概要 |
本研究課題の平成21年度の研究実施計画は,(1)周術期脳酸化ストレスモデルの確立を目的にラット出血性ショックモデルにおける中枢の変化を観察し,その病態をさらに検討すること,(2)ケタミン,プロポフォール等のペントバルビタール以外の麻酔薬を用いた麻酔下にラット出血性ショックモデルを作製し,中枢におけるHO-1の発現等を麻酔薬間で比較検討することにより静脈麻酔薬の抗酸化作用の違いを検討することである。 申請者は昨年同様,雄性SDラット(8週齢)を用い,ペントバルビタール麻酔下に大腿動脈にカテーテルを挿入,平均血圧30mmHgとなるまで脱血を行いショック状態とし,1時間後脱血した血液を返血し蘇生を行うショックモデルを作製した。蘇生開始から3日後および7日後にラット犠死させ脳の摘出をおこない,大脳皮質・海馬・視床下部の標本を採取し,real-time PCR法にてアセチルコリンレセプターのムスカリン型レセプターであるM1,M2,M4およびニコチン型レセプターであるα3レセプターの発現を調べた。その結果,ショック3日後の大脳皮質,ショック7日後の海馬においてM4レセプターの増加が認められた。このことは,出血性ショックにより何らかの中枢機能の変化が引き起こされている可能性を示唆するものであった。 また,ケタミン,プロポフォールを用いた麻酔下に作成した出血性ショックモデルについても中枢での酸化ストレス変化を引き続き検討中である。
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