研究概要 |
顎骨骨幹異形成症(GDD)は,顎骨の骨性異形成症,四肢の易骨折性,長管骨骨幹部皮質の肥厚を特徴とする遺伝性骨系統疾患である.われわれ研究グループはポジショナルクローニングにより,2003年に疾患責任遺伝子GDD1を同定した.しかしながら,GDD1遺伝子は機能未知の新規遺伝子でGDD1遺伝子産物の生化学的機能やGDD1遺伝子の変異により引き起こされるGDDの分子病態は不明であった.本研究ではヒトGDD1遺伝子の機能解析およびGDDの病態解析を行う上で必要不可欠な抗ヒトGDD1抗体を作製し,ヒトGDD1蛋白の細胞内局在,組織分布の検討等を行い,GDD1遺伝子の機能の解明とGDDの原因の解明と病態解析を行うことを目的とした.本研究で新たに抗ヒトGDD1ポリクローナル抗体を作製し,また,GDD1遺伝子の機能解析を目的にGDD1発現ベクターを作製し,培養細胞における外来性GDD1安定発現システムの確立を試みてきた.しかし,GDD1タンパクは細胞内で非常に分解を受けやすく,タンパク検出が困難であった.このため,GDD1遺伝子の生理的機能は長く不明であったが,申請者らはGDD1が筋萎縮を症状とするLGMD2の原因遺伝子であることを発見し(Bolduc V et al., Am J Hum Genet, 2010),筋芽細胞株を用いた発現実験で骨格筋恒常性維持にGDD1遺伝子が重要な役割を発揮していることを証明した.
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