外傷性三叉神経ニューロパシー患者において、その痛みの原因が遷延する慢性炎症なのか、神経障害性疼痛なのか、心理社会的要因なのかを検索するため、まずは神経障害の評価を行ってきた。方法として、神経障害の程度を白金ボール双極電極を用いた100msec、2Hzの電流刺激による認識閾値(electric detection threshold ; EDT)と、Aβ、Aδ、Cの3種類の感覚神経線維の閾値(Current Perception Threshold : CPT)により定量的に評価し、異常感覚としてのhypoesthesia、dysesthesia、allodynia、hyperalgesiaの状態による症状特異性の評価を行うことで、初期の神経症状から推測される予後評価を行ってきた。hypoesthesia症状のみの患者は予後が良好で、EDT値は2.15を境界に予後に有意な差があった。CPT値においてもその比率により予後診断が可能であった。 さらに、これらの患者において、身体化としての痛みにも効果があるアミトリプチリンの効果を検討した。 神経障害の評価では、比較的軽症である可能性が示唆されても、痛みの訴えが強く高容量のアミトリプチリンを必要とする患者がいることが分かってきた。 次にこういった神経障害でありながら心理社会的要因の大きい痛みを訴えている可能性のある患者において、情動賦活試験による脳機能画像評価に特異性があるのではないかと考えた。 しかし、元々痛みのある患者のため、脳機能画像変化は個体差が多く、再現性も様々で評価困難であることが分かってきた。現在の所、評価法を再考している。
|